電池性能を示すエネルギー密度とは?
前節で2次電池の主な種類を説明してきたが、それぞれの性能差はどうなのだろうか?例えば、スマホ用電池となると、軽い重量に大量の電気エネルギーWhを詰め込みたいと設計者は考える。EV用電池となると重量も重要だが、それよりもクルマの所定の空間に大量の電気エネルギー、つまり節1-4で説明した電力量Whを確保しなければならない。重要当たりの電池性能を重量エネルギー密度(Wh/㎏)、空間当たりの電池性能を体積エネルギー密度(Wh/L)と呼ばれ、次のように定義されている:
❏重量エネルギー密度(Wh/㎏)=容量(Ah)✖平均作動電圧(V)/重量(㎏)
❏体積エネルギー密度(Wh/L)=容量(Ah)✖平均作動電圧(V)/体積(L)
ここで、平均作動電圧とは25℃、1クーロンを放電する時の作動電圧の平均値をいう。
図22に鉛蓄電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池の重量エネルギー密度(Wh/㎏)、体積エネルギー密度(Wh/L)を示した。鉛蓄電池の性能を基準にすると、ニッケル水素電池はそれぞれ3倍、4倍、リチウムイオン電池は6倍、9倍と性能が優れていることになる。リスク、価格等を考えて、鉛蓄電池は従来の12V系の電気回路に、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池はEV、HVの駆動系の電気回路に分けて使われているのが現状である。では次にそれぞれの電池➊鉛蓄電池~➌リチウムイオン電池まで順に詳しく説明していこう。@2021.10.16記
《専門用語の解説および参考文献》
1)「リチウムイオン電池の豆知識」@Hatena Blog