「それじゃ、頭を慣らすためにクルマの歴史から話を始めよう!
純くんは知っていると思うけれど、ガソリン乗用車(GV)はカール・ベンツが1885年に発明したクルマ。そして、ディーゼル乗用車(DV)はディーゼル博士が1893年にエンジン特許を出してベンツ社が1936年に乗用車として世に送り出したクルマだね。」
「それは雑誌で読んだことあるよ。ガソリン車に比べるとディーゼル乗用車が世に出たのは、結構遅かったね。」
「GV、DVはドイツ人が世界で初めて開発生産して、現在のクルマの原型になっている。ドイツの人達は当然プライドを持っているし、その意味ではドイツの人達をリスペクトしなければいけない。GVは130年、DVは80年もの長き間、世界中の人たちに使われて来たんだからね。」
「でも最近の報道では、GV、DVが消えて、EV化されていくって話だけれど、あまりにも急すぎて、何か変な話だよね。」
「そうだね。まあGV、DVが突然消えるわけではないし、EV化が急に進むということでもない。ただしGV、DVが100年以上の歴史の中で、特に先進国では次第に合わなくなってきたことは事実だね。米国テスラーモデル¹⁾を筆頭にEVが徐々に増えているのも事実だ。特に昔からだけれど、中国メーカーが力を入れている。とは言っても、EVの割合は非常に小さいのも事実。2018年4輪車生産台数は9,700万台、その内乗用車生産台数8,360万台²⁾となっている。EVとPHVを合わせて201万台³⁾、何と世界シェア2.4%!という非常に小さな割合であることも事実だね。ただ、2年前は0.7%だってことを考えると伸びてきているのも事実。
そして、これからの談義に出てくると思うけれど、EVは大きな課題である電池とインフラ問題が全く片付いていない。極端な話、電池の歴史がEVの歴史と考えてみいい。それだけ考えても急にEV化が進むとは思わない。」
「日本だと軽自動車とHVがたくさん走っているけれど、本当にGVが10年ぐらいで消えるとは思えないよね。」
「その通りだね。エンジンメーカー、大学、研究所でも見通しがバラバラで、2050年にはEVがシェア30-40%占めているという意見もあれば、石油関連部門からは4-5%も進まないという意見もある。立場によって意見が全く異なる。今はGV・DVからEVに切り替わる100年に一度の転換期という訳だ。」
「そうか?今は本当に転換期の真っ只中に立っているんだね。」
「そう思うよ。その点、純くんがメモした10の疑問点はこの転換期において的を射ていると感心したよ。私も大いに興味あるし、データを調べて計算しながら、話しながら1か月かけて一緒に考えていこう!ここ数年の講演内容を純くんにも分かるように説明していくと、何か先が見えてくるような気がしている。」ハカセは純一郎と一緒に話していくうちに、何か面白そうな結論がいくつか出そうな気がしてきた。@2018.12.4記、2019.11.20、2019.12.9修正
《参考文献》
1)テスラー社☛イーロンマスクがCEOである電気自動車メーカー。テスラ―モデルとしてモデルS(2012年)、モデルX(2012年)、モデル3(2016年)と生産販売している。
2)「世界各国/地域の四輪車生産台数」@JAMA
3)「EV・PHV世界販売台数ランキングTOP20」兵庫三菱自動車販売グループ」@2019.2.21