2019年の7月、桑名市の花火大会がやって来る。14万人の街に10万人の見物客が押し寄せるので、夕方になると街の中は人とクルマでごった返す。ハカセ(主人公の一人)の自宅にも毎年長女夫婦、長男夫婦が子供連れでやって来る。夕食を済ますと、皆で自宅から歩いてすぐ近くの堀にビニールシートをひいて、皆で花火を眺めるのが恒例行事となっていた。
無事花火を見終えて居間に戻ると長女から、
「実は純一郎を夏休み間1か月程預かってもらえない?」
と切り出された。本人の強い希望らしい。中学2年生ということで、高校受験は来年だし、夏休みの課題もすべて終えたようだ。理由はただ一つ残っている自由研究を「将来のクルマ」をテーマに書いてみたいということらしい。一応専門家のお爺さんと話しながらまとめていきたいというのであった。
本人は自称「クルママニア」でクルマの専門雑誌、新聞情報、ネット記事などには詳しく、大人顔負けの知識を持っていた。本人曰く、
「将来のクルマについて僕なり書いてみたい思っている。しかし、最近分からないことが多くなり、一つ一つハカセに聞きながら書いていきたいのだけれど・・・。」
ということであった。当然、両親は聞いてもさっぱりわからないということで、
「1か月、お願いできない?」
ということであった。
お婆さんの方は孫の純一郎と一か月一緒に過ごせるということで、「賑やかになるね。」と話は簡単にまとまってしまったのである。こうして、ハカセと純一郎の1か月に及ぶクルマ談義がスタートしたのであった。
@2018.12.3記、2019.11.19、2019.12.10修正