最近EV化(電気自動車化)に関する報道をよく耳にします。明日にでも街のあちこちでEVが走りそうなニュースが流れていますよね。一方では、2030年後もガソリン乗用車(GV¹⁾)はまだまだ主役だという意見も多く聞かれます。一体どれが本当なのか、一般消費者の我々には分からなっています。そこでクルマに興味があり、一般の方々でも理解できそうな、また専門家の方でも参考になりそうな、クルマの燃費、CO2排出量についての話を書いてみようと思いました。
私はエンジン・クルマの専門家ではありません。自動車部品会社で部品開発を30年程従事してまいりました。今は現役を引退して、消費者側の人間となりました。そういう意味ではある程度専門的にエンジンを語ることができ、また消費者という立場から客観的にクルマを評価できると思っております。そこで、過去から将来に向けてクルマの在り方について、燃費低減・CO2削減という観点にスポットを当てながら書いてみることにしました。
ところが、いきなり教科書的な話をしてもおそらく誰も読んではくれません。特に私が読んでほしいと考えている方々は、中高生、大学生、そして若い研究者・技術者の方々、さらには私の講演会を聴講して頂いている機関投資家の方々という幅広い層の人達です。
そこで、前編では設定を、お爺ちゃん(ハカセ)と孫の純一郎(中学2年生)とのクルマ談義という形にしてみました。純一郎君は夏休みにお爺ちゃんの家に約1か月泊まり込んで、彼に”10の疑問点”を投げかけます。その中で今のエンジン車、ハイブリッド車を理解するための基本的な内容を前編27話の談義として取り上げ、5つまでの疑問点について解説しています。そして、残り5つの疑問点については後編の解説風のお話に繋いでいこうと思いました。
前編では熱力学の基本という少々眠たくなるような話から入り、ガソリン乗用車、ディーゼル乗用車(DV²⁾)、ガソリンハイブリッド車(HV³⁾)の話に渡っています。ハカセが中学2年生に語り掛けるという設定のため、一般の方々でも十分わかるようにしたつもりです。ただ数式がいくつか出てきますが、最小限に留めています。これは読み飛ばして頂いても一向に構いません。ただし純一郎君は、中学2年生と言えど物理・化学・エンジンに関しては大人顔負けの知識を持っているスーパー中学生という設定になっています。是非ともハカセと純一郎の談義に付いていって下さい。二人の会話を楽しんで下さい。
そして後編ではPHV⁴⁾、EV⁵⁾の話を交えて、いかにしてクルマからのCO2を削減していくか、を語っています。読み終わった後、将来のクルマのイメージが浮かんで来たら、ハカセ、純一郎君と同じ夢を共有できたことになります。それでは前編の二人の物語からの始まりです。その結末は如何に?前編を読み終えたら、またお会いしましょう!2018.12.3記、2019.11.19修正、2020.5.19修正
《専門用語の解説》
1)GV☛Gasoline Vehicle(ガソリン乗用車)
2)DV☛Diesel Vehicle(ディーゼル乗用車)
3)HV☛Hybrid Vehicle(主にガソリンハイブリッド乗用車)。HEV(Hybrid Electric Vehicle)とも呼ばれる。
4)PHV☛Plug-in Hybrid Vehicle(主にガソリンプラグインハイブリッド乗用車)
5)EV☛Electric Vehicle(電気自動車)