一般に言われている「クルマ視点のグリーン社会」の全体像例を図1に示しました。この社会ではエネルギー源がグリーン電力¹⁾、グリーン水素²⁾から成り立っており、温暖化減速に対して理想郷と考えられているエネルギー社会です。
これはあくまで理想社会であり、島国である日本にいると中々実感できません。この社会づくりは特に欧州をはじめとしてお隣の中国も同様に、着実に進めてきています。日本も他人事ではありません。化石燃料をほとんど海外からの輸入に依存しているからです。日本の中東からの化石燃料依存度は深刻な状況なのです。中東外交によって何とか化石燃料を確保しているというのが、日本の実態なのです。
したがって、日本にとってはクルマ視点のグリーン社会づくりを大きく加速させることが最重要課題であり、国(政府)、クルマ会社、電力会社、燃料供給会社、そして国民が互いに歩み寄り、具体策に取り組む必要があると思います:
❶ 国(政府)➡グリーン電気、グリーン水素精製設備の建造
❷ クルマ会社➡より安価なEV供給
❸ 電力会社➡より安価なグリーン電気供給
❹ 燃料開発・供給会社➡より安価なe-Fuel³⁾供給
❺ 国民(ユーザー)➡HV・PHV・EVの選択
ところが、このような理想郷とは今では相容れないディーゼルエンジンの燃料噴射装置という仕事に私は30年ほど携わってきました(詳しくは次頁)。退職した今だからこそ、このような理想郷に向けた仕事を一度してみたいと思い、「くわな科学技研」を立ち上げました。当技研の活動をご理解して頂き、多くの若い技術者の方々が参画されるよう、経営者の方々にお願い致します。
注1)グリーン電気☛再生エネルギーで発電された電気
注2)グリーン水素☛グリーン電気により電気分解されて生成された水素
注3)e-Fuel☛グリーン水素Hと大気中のCO2を分解して生成した炭素Cの合成液体燃料